子供の肌のブツブツで考えられる症状!発症する原因は?
子供の肌にブツブツができている場合、あせもやじんましんなどが考えられます。
この項ではそれぞれの症状と原因について解説しますので、当てはまる点がないか確認してみてください。
あせも
汗を大量にかくことで引き起こされる皮膚トラブルが「あせも」です。通常、汗は汗管という汗の通り道から体外に排出されます。しかし、何らかの理由で汗が体外にスムーズに排出されなくなってしまうと、あせもができてしまうのです。
汗がスムーズに排出されなくなる原因として、汗管が詰まってしまうことが挙げられます。大量の汗をかくと、汗に含まれる塩分、ほこりや汚れが汗管をふさいでしまい、汗が体外に排出されなくなってしまうのです。
排出されなかった汗は、行き場を失って皮膚の中にたまり、そこで周りの組織を刺激して炎症を引き起こすため、あせもができます。首回りやわきの下、ひじやひざの関節、足の付け根やお尻など、汗がたまりやすい部位や蒸れやすい部位は、特にあせもができやすいといえるでしょう。
あせもには、「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」と「水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)」「深在性汗疹(しんざいせいかんしん)」の3つの種類があります。
紅色汗疹とは、赤い小さな発疹ができ、かゆみを伴うタイプのあせもです。一般的にあせもといえば、この紅色汗疹を思い浮かべる方がほとんどでしょう。
かゆいからといってかきむしってしまうと、症状がどんどん悪化し、広い範囲に赤く広がることもあります。
水晶様汗疹とは、皮膚の表面に透明の小さな水疱ができるもので、痛みやかゆみといった自覚症状がほとんどありません。そのため、あせもができていること自体に気づかないケースも多いです。
深在性汗疹とは、紅色汗疹よりも皮膚の深い部分で汗管が詰まってできるもので、白い平らな湿疹ができます。熱帯地方など高温多湿な環境下でみられる症状です。体温調節機能が低下するため、熱中症につながることもあり注意が必要です。
このように、子供のブツブツが赤い小さな発疹だったり、透明で小さな水疱だったりする場合は、あせもの可能性があるといえるでしょう。
じんましん
子供の肌のブツブツが、虫さされのように膨らんでいる場合、それはじんましんの可能性があります。
じんましんの症状はさまざまで、2~3mm程度の小さな発疹ができることもあれば、10cm以上の大きなふくらみができることもあります。広範囲に症状がみられることもあれば、体のごく一部だけのこともあり、症状の現れ方には個人差があるのが特徴です。
じんましんができると、強いかゆみをともなうことが多いです。大抵の場合、1日中ずっと症状が出るということはなく、数時間~半日程度で症状はおさまります。しかし、症状が毎日のように繰り返し発生するケースもあるので注意が必要です。
現在のところ、じんましんの原因について断定することは難しいとされています。
しかし、じんましんは大まかに「アレルギー性」「非アレルギー」に分けられます。
アレルギー性じんましんは、アレルギーの原因となる特定の物質に反応することで症状が出るものです。アレルギー反応を引き起こす代表的な要因としては、食べ物や薬などです。多くが摂取後1時間以内にじんましんの症状がおこります。
非アレルギー性じんましんは、気温の変化、ストレスや疲労などが原因で起こります。精神的な要因も、じんましんの発症に影響を与えるといわれています。はっきりした原因がわからないことが多いです。ほとんどのじんましんがこれに当たります。
その他にも、入浴、緊張、発汗などが引き金になるじんましんや圧迫部位に一致しておこるじんましんじんましんなどが挙げられます。
多くの場合、子供のじんましんは非アレルギー性で原因がはっきりしないことが多いです。しかしすぐに治ることがほとんどです。場合によっては繰り返し起こることもあるので注意が必要です。
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ブツブツの予防・対策
子供の肌のブツブツは、なるべく早く対策を行い、悪化する前に治すようにしましょう。ブツブツがあせも、もしくはじんましんと考えられる場合は、この項で紹介する予防や対策方法を試してみてください。
あせもの予防
あせもを予防するためには、汗をかいたままにしないことが大切です。汗をかいた後に放置してしまうと、それが汗管の詰まりを引き起こし、あせもができる原因となってしまうからです。
汗をかいたら、こまめに汗を拭き取るようにしてください。タオルで汗を拭くときはゴシゴシせず、汗を押さえるようにやさしく拭きましょう。
また、清潔な衣服を着せるようにし、できれば、汗をかいたらぬるめのお湯のシャワーで汗を洗い流し、着替えるようにしましょう。
汗をかいた後に肌が濡れた状態のままが続くと、あせもができやすくなりますので、吸水性の良い下着や肌着を着せるようにしてください。そうすれば、汗をかいてもすぐに吸収して、肌に汗が残った状態で長時間過ごすことを避けられます。
また、汗をかいた後にあせものような赤い発疹ができなかったとしても、肌が赤みを帯びてかゆみが生じることがあります。汗に含まれる成分により肌荒れが起こる「汗あれ」の状態です。かゆみを感じたら、早めにかゆみ止めを使用するようにしましょう。かゆいからとかきむしってしまうと、かえって状態が悪化してさらにかゆくなってしまいます。
あせもを予防するためには、普段のケアが重要だと覚えておきましょう。
じんましんの予防
じんましんは、はっきりとした原因が解明されていないため、予防することは難しく思えますが、だからといって対策方法がないわけではありません。
原因を予想して対策を行えば、じんましんの出にくい体を目指すこともできるでしょう。
ストレスなど、精神的なことが原因でじんましんを引き起こすこともあります。こういった場合は、ストレスとなっている要因を突き止めることが対策の糸口になります。
また、食べ物を見直すことも対策の一つです。アレルギー反応によるじんましんの場合、アレルギーを起こす特定の食品を避けることで、予防につながります。何か食べた後にじんましんがでるようであれば、その食べ物をメモして病院を受診した際に医師に伝えてください。アレルギーの検査をすることで、原因物質が何かわかるかもしれません。むやみに食事制限をするのは子供の成長の妨げになりますので、医師と相談するのが良いでしょう。
さらに、生活習慣を見直すことも大切です。特に睡眠は、免疫力を高めるためにも大切なので、きちんと睡眠がとれているか確認しましょう。十分に睡眠をとって、疲れをためないようにすることは、じんましんの予防・対策において重要です。
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どうしても治らない場合
ここまで紹介した対策や予防方法を試したり、市販の医薬品を使ったりしても、子供の肌のブツブツがなかなか治らない場合は、皮膚科を受診しましょう。こういった場合、あせもやじんましん以外である可能性があります。
皮膚科を受診して、処方された塗り薬などで対処すれば、肌のブツブツは治まるでしょう。処方された塗り薬などを指示された期間使っても症状が良くならない場合は、再度受診してください。
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まとめ
子供の肌にブツブツができた場合、あせもやじんましんの可能性があります。
小さな赤い発疹や皮膚の表面に小さな水疱ができて、なかなか治らないという場合は、あせもの可能性があります。
小さな発疹や大きな虫さされのようなふくらみが、できては消えるというパターンを毎日のように繰り返すようであれば、じんましんを疑ってみましょう。
その際は、本記事で紹介した方法を試してみてください。
それでもなかなか治らない、またはブツブツ以外にも発熱や腹痛、呼吸の異常といった症状が見られる場合は、すぐに小児科を受診することをおすすめします。
鼻岡 佳子 先生
鼻岡けいこ皮フ科クリニック院長。医学博士。開院まで20年弱、県内外の大学病院や総合病院の医師としてアトピー性皮膚炎や食物アレルギー、皮膚癌、小児皮膚科治療、美容皮膚科治療など幅広い年代の皮膚疾患・皮膚科治療に携わる。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・指導医。日本皮膚科学会認定美容皮膚科・レーザー指導専門医。日本抗加齢医学会専門医。