子供が夜中に体をかきむしってしまうときは、まずはかゆみの原因を探ろう
眠っているときにかゆみが生じれば、大人も子供も無意識のうちに体をかきむしってしまう可能性があります。夜中に眠ったまま肌をかきむしることで、体のあちらこちらにかき跡ができることもあります。
しかし、同じ「かきむしる行為」でも、その原因がひとつとは限りません。まずは、症状をきちんと確認し、適切なホームケアを行いましょう。
ただし、広範囲に湿疹が出ているなど、症状が重度と思われる場合は、すぐに皮膚科を受診してください。症状がよく分からない場合も同様です。
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子供のかゆみ1.「あせも」
汗ばむ季節になって急にかゆみを訴える頻度が増えた場合は、あせもを発症しているかもしれません。気温が上昇する6月~9月頃にかけて、子供の肌トラブルで特に多く見られるものが、あせもです。
この項では、あせもの基本的な症状や原因、対処法について紹介します。
症状
あせもの場合、以下のような症状が見られます。
・透明や白色、赤色の丘疹(ブツブツ)ができる
・首の周りや脇の下などに発症しやすい
・炎症が起こるとかゆみを伴うようになる
・症状がひどくなると赤く広がる
原因
あせもが発生するのは、大量の発汗により汗管(汗の通り道)がふさがってしまうことが原因だといわれています。
汗管が詰まり、汗がうまく出なくなることであせもが発症します。汗管が詰まると汗は周辺組織へにじみ出て肌が炎症を起こし、肌のかゆみや赤み、水ぶくれを引き起こします。
気温の高い夏場はもちろん、子供は大人よりも汗かきのため、厚着をする冬場も注意が必要です。
対処方法
軽症の場合はまず石けんやボディシャンプーで洗って汗を洗い流し、肌を清潔に保ちましょう。「あせもには肌を乾燥させた方が良いから保湿は必要ない。」と思っている方もいるかもしれませんが、洗浄後は皮膚のバリア機能をサポートするために、保湿ローションやジェルなどでしっかり保湿ケアをしましょう。また、こまめな着替えと風通しの良い服装を心がけ、肌が蒸れないよう工夫してください。
症状が広範囲に広がったり、炎症がひどくなったりした場合は、ホームケアに留めず早めに皮膚科を受診してください。炎症を抑える軟膏などが処方されます。
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子供のかゆみ2.「乾燥」
「子供は大人に比べると肌がうるおっている」と思われがちですが、実は、肌の機能が未発達である子供は、大人以上に保湿ケアを意識しなければなりません。
保湿ケアを怠ると、ささいな刺激に敏感になり、ひどいかゆみを覚えます。肌が白っぽくガサガサしていて、あせもや虫さされなどとは異なる症状が出た場合は、乾燥を疑ってみましょう。
症状
乾燥によって引き起こされる症状は、以下のとおりです。
・皮膚のカサつき
・白い粉を吹く
・かゆみがある
・湿疹が出る
ひどい場合はかゆみや湿疹が出るほか、ささくれやひび割れなどを引き起こすこともあります。
原因
生後数ヶ月を過ぎた頃から思春期前までの時期の子供の肌は、大人の肌よりも皮脂の分泌量が少なく、肌が乾燥しやすいデリケートな状態です。
こまめな保湿ケアを怠ると、季節を問わず肌は乾燥してしまう可能性がありますが、空気が乾燥する冬場は、特にリスクが高くなります。肌が乾燥すると皮膚のバリア機能が低下し、ささいな刺激でもかゆみを感じたり、肌が炎症を起こしたりします。
対処方法
乾燥によって低下した皮膚のバリア機能を補う対処が必要です。保湿クリームやローションなどで保湿をこまめに行いましょう。保湿後に、少量のワセリンで肌を保護するのもおすすめです。
また、肌への刺激を避けることも重要です。体を洗うときは、強くこすらないよう心掛け、使用するアイテムも刺激の少ないものを選びましょう。ボディシャンプーをしっかり泡立てて、たっぷりの泡で洗う「手のひら洗い」がおすすめです。
入浴時も注意が必要です。お湯張りしたばかりのさら湯や温度の高過ぎるお湯は、肌を乾燥させてしまいやすいため避けた方が良いでしょう。保湿成分の入った入浴剤を入れて、ぬるめの温度に設定したお風呂に入りましょう。
これらの対処を実行しても症状が長引いたり、かゆみの症状が強かったりする場合は、乾燥ではなくアトピー性皮膚炎の可能性もあります。強いかゆみのある湿疹があり、良くなったり悪くなったりする場合は、皮膚科を受診しましょう。
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子供のかゆみ3.「虫刺され」
虫刺されによるかゆみは、誰もが経験したことがあるつらいかゆみですよね。
外で遊ぶ機会の少ない子供の場合、「うちの子は虫のいるような場所に出かけていないのに」と不思議に思うかもしれません。しかし実は、家の中に潜んでいる虫が原因となるケースも少なくないのです。
傾向としては夏に多いですが、冬場も暖房で温まった室内に虫が集まるため、虫に刺されることがあります。
症状
かゆみを生じる虫刺されは多岐に渡るため、症状も種類によってさまざまです。体質による差もあり、刺された後にアレルギー症状をひどく起こしてしまうお子さんもいます。例えば同じ場所で遊んでいた子供2人が同じ虫に刺されたとしても、ひとりは症状が重いのに、もうひとりは軽く済むようなことがあるのはそのためです。
虫刺されの代表的な症状は、以下のものがあげられます。
・皮膚の赤み
・刺された場所や周辺の皮膚が盛り上がる
・強いかゆみを感じる
・水ぶくれになる・かき壊してしまうと細菌感染により化膿する
蚊など小さく身近な虫であっても油断はできません。かき壊してしまうと細菌感染を引き起こしたり、発熱やリンパの腫れが起こったりすることもあるので注意しましょう。
原因
屋外・屋内いずれの虫も原因となる可能性をもっています。身近な存在では、以下の虫に要注意です。
・蚊
・ノミ
・ダニ
・ブユ(ブヨ、ブト)
・シラミ
・ムカデ
・ハチ
・アリ
・毛虫
ムカデのように刺したときの毒に反応することもあれば、毛虫の毛に対するアレルギー反応によってかゆみを生じることもあります。
対処方法
市販の虫刺されの薬で、素早くかゆみを止め、かかないことが大切です。
ただし、虫の種類によっては毒素をもっていたり、感染症の原因となる菌を媒介したりすることもあるため、症状が重い場合は必ず皮膚科を受診しましょう。
症状や原因に合わせ、ステロイド軟膏などが処方されます。かゆみが強い場合は抗アレルギー剤の内服も併用します。
入浴は通常どおり可能ですが、かき壊して細菌感染し水泡が広がる「とびひ」になっているような場合は、プールは避けるべきです。
また、再発防止として、屋外・屋内それぞれに合った虫刺され予防(虫よけ対策)を行うことも大切です。屋外でも使える虫よけとして、肌に塗るタイプ、吊下げ式や電池式の蚊取りなど、いろいろ販売されていますので試してみてください。
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子供のかゆみ4.「アトピー」
かきむしる行為といえば、子供のアトピー(アトピー性皮膚炎)を思い浮かべる方も多いでしょう。
アトピーは日々研究が進められており、ケアの方法ひとつとっても、昔の常識が通用しなくなっているといわれています。アトピーが疑われる場合は「昔から知っている知識」ではなく、常に「新しい知識」を皮膚科専門医から教えてもらい、適切な対処を行うことが大切です。
症状
アトピーの主な症状は、繰り返し起こるかゆみをともなった湿疹です。乳児期、幼児期・学童期で症状の現れ方は異なり、それぞれ以下の特徴が見られます。
・乳児期 … 頭や顔を中心に症状が出る(赤い湿疹や乾燥症状が出る)
・幼児期、学童期 … 皮膚の乾燥、四肢関節の内側に赤みや丘疹が出る
離乳期は、口の周りや頬に湿疹が出やすい傾向にあります。また、幼児期や学童期は耳の後ろの湿疹や耳切れも起こりやすいため、目立たない部分にも注意してみてあげてください。
原因
アトピーでかゆくなる原因は複数あり、人それぞれ異なります。体質やかゆみに対する「かき壊し」のほか、ハウスダストやカビなどに対するアレルギー反応もアトピーの原因になります。
時には、不適切なスキンケアが症状を引き起こすこともあるため、正しいスキンケアの手順やコツを理解し、きちんとスキンケアを行いましょう。
対処方法
アトピーの対処は、医療機関による薬物療法が一般的です。以下のように、症状に合わせた対症療法が行われます。
・外用薬による皮膚炎の治療
・内服薬によるかゆみの抑制
・保湿剤による皮膚のバリア機能のサポート
家庭では、まず肌を清潔にし、適切な保湿ケアを行います。肌が汚れた状態でケアを行っても肌への負担が増加してしまうので、ボディシャンプーや石けんでやさしく丁寧に洗い、清潔な肌に保湿ケアを行ってください。
皮膚科で処方された薬は、自己判断で中止したり量を減らしたりせず、定められた期間・定められた量を守って適切に使用しましょう。皮膚科専門医の指示にきちんと従うことが、症状改善のためには大切です。
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まとめ
子供が夜中に体をかきむしる行為は、見ている親はもちろん、子供自身もストレスや不安を抱えてしまうものです。大人でも我慢するのは大変な体のかゆみを、子供に我慢させることは難しいでしょう。
市販のかゆみ止めを早めに塗ったり、皮膚科を受診して適切な治療を受けたり、ホームケアで皮膚の健康をサポートしたりなど、悪化させないためには早めの対処が必要です。
今回記事で紹介したとおり、かゆみの原因は複数あります。まずは子供の症状をチェックし、必要に応じて皮膚科の受診やホームケアを行ってください。