夏場によくみられる皮膚炎とは?
はじめに、夏場に起こりやすい皮膚炎を種類ごとに詳しく解説します。
日焼け(日光皮膚炎)
日焼けは紫外線を浴びることで起きる炎症のことで、医学用語では『日光皮膚炎』と呼ばれています。日焼けの症状には、実は『サンバーン』と『サンタン』の2種類あることをご存じでしょうか。主に次のような特徴があります。
・サンバーン
強い紫外線を受けた後に生じる日焼けで、ダメージにより赤くヒリヒリした炎症を起こすのが特徴です。重度になると水ぶくれや発熱、倦怠感、頭痛などの症状が現れます。
・サンタン
日焼け後2~3日たち、メラニンの色素沈着によって肌が黒くなる現象のことです。日焼けの程度や個人差によりますが、その後は数週間から数か月かけて元の肌へと戻っていきます。
日光過敏症
日光過敏症とは、通常肌トラブルが起きない程度の量の紫外線に当たっただけで皮膚疾患が現れる症状のことです。紫外線に当たった部位に赤みやブツブツとした皮膚症状がみられます。
日光過敏症の症状は大きく外因性と内因性に分けられ、要因はさまざまです。外因性の場合、主に
一部の食品や薬剤を飲んだ後や、化粧品を塗ったあとに紫外線に当たることで炎症が引き起こされます。内因性の場合は、遺伝的背景が考えられます。
いずれにしても、原因を自分で判断するのは難しいため、わずかな日光でも炎症が起こり、日光過敏症が疑われる場合は、医療機関への受診がおすすめです。
あせも
あせもとは、発汗することで汗の通り道である「汗管」が詰まり、汗の排出が滞ってしまう症状のことです。汗をかきやすい時期に、首回りや足の付け根など蒸れやすい部位に起こりやすく、乳幼児から大人まで見られます。
あせもは、その特徴から次の3種類に分けられます。
水晶様汗疹(すいしょうようかんしん):白っぽい水ぶくれ
皮膚の表面近くに汗が溜まって起こる現象です。ほとんどの場合、かゆみや炎症は起こらず、水ぶくれは数日で乾燥して収まっていきます。赤ちゃんによくみられるあせもですが、汗をかいたあとの大人でも起こり得る症状です。
紅色汗疹(こうしょくかんしん):赤いプツプツ
肌の表皮にある、汗管が詰まって起こるあせもです。
プツプツとした赤みはかゆみを引き起こすことが多く、かいてしまうことで周囲に広がり患部が悪化する場合があります。
深在性汗疹(しんざいせいかんしん):青白くなだらかに盛り上がる
肌の奥にある真皮内で汗管が詰まった場合に起こるあせもです。かゆみや赤みといった症状はほとんど現れないものの、汗が排出できない状態が続き、熱がこもりやすくなるため熱中症を引き起こす恐れがあります。
あせもは、
高温・多湿な環境での運動や発熱時はもちろん、通気性の低い衣服などを着用しているときにも起こりやすくなります。夏場はあせもを引き起こす要因が揃いやすいので注意が必要です。
汗あれ(汗かぶれ)
汗あれは、かいた汗の塩分やアンモニアなどの成分が肌の刺激となって皮膚が荒れたり、かぶれたりする症状です。
本来ならば、多少の刺激があっても皮膚のバリア機能によって炎症は起こりません。しかし、普段から肌をゴシゴシとこすっていたり、汗をそのまま放置していたりすると肌のバリア機能がくずれ、炎症を引き起こしてしまうことがあります。
汗あれはあせもの症状と似ていますが、あせもは炎症が肌の内側で起こっているのに対し、汗あれは肌の表面で起こっているのが大きな違いです。
現れる症状も、あせもは肌表面にブツブツとした発疹が見られる一方、汗あれは肌表面に広がる赤い炎症が特徴となっています。
接触性皮膚炎
接触性皮膚炎とは、皮膚が接した物質の成分によってアレルギー反応を起こしてかぶれてしまう症状のことです。アレルギーの原因が金属の場合、汗によってわずかに溶けだすことで引き起こされます。
また、アレルギー反応ではなく、外部刺激によってかぶれているケースもあります。
接触性皮膚炎が夏場に起こりやすいのは、汗をかいたあとの肌は乾燥しやすく、皮膚のバリア機能が低下してしまうからです。外部刺激が原因の場合は、物質を取り除くことで症状は治まっていきます。
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夏にかかりやすい皮膚炎への予防策
夏場に起こる皮膚炎には赤みやかゆみをともなうものも多く、多くの方を悩ませます。蒸し暑い季節でも健やかな肌で快適に過ごすためには、下記の予防策を意識してみましょう。
【予防策1】紫外線対策をする
まずは、
日焼け止めを始めとした紫外線対策の強化です。皮膚が日光にさらされないようにするのが一番ですが、顔や首、腕などどうしても露出してしまう部位には日焼け止めを使って紫外線対策を行いましょう。
日焼け止めには、肌が赤くなる日やけ(サンバーン)を起こすUVBの防御効果を表す『SPF』と、長時間かけて肌の弾力を失わせるUVA対しての防御効果を表す『PA』の数値があります。強い日差しの下で長時間活動する日には数値が高いものを選び、日常的な外出には数値が控えめなものにするなど、シーンによって使い分けるのがおすすめです。塗るときはこすらずやさしく全体に塗り広げてください。
日焼け止めはしっかり塗っても汗や衣服の擦れで落ちてしまうため、
2~3時間ごとの塗り直しが推奨されています。紫外線は季節や時間を問わず降り注いでいるため、毎日塗るようにしましょう。
紫外線を浴びないようにする生活の工夫も効果的です。日焼け止めだけでなく、日傘や帽子などで肌の露出を抑えるようにしたり、紫外線が多い時間帯(午前10時~午後2時)の外出を避けたりと、日焼けを防ぐ過ごし方を意識してみてください。
【予防策2】皮膚を清潔に保つ
夏場の皮膚炎を防ぐなら、汗を放置せず皮膚を清潔に保つことも大切です。肌トラブルの元である汗は、かいた後に小まめに拭き取りましょう。シャワーで洗い流すのもおすすめです。
とはいえ、外出中や仕事中では、拭き取りやシャワーなどがすぐにできない状況も考えられます。そのような場合でもできるだけ皮膚を清潔に保つよう、汗をかかないようにするための対策を取り入れましょう。
例えば、
衣類は通気性や吸湿性に優れた素材や冷感素材のものを着用するのがおすすめです。室内では適度な温度・湿度の環境を保ち、汗をかきやすい状況を避けるのもよいでしょう。
ただし、発汗は人間の体温調節に必要な機能です。まったく汗をかかないのも健康を損なう場合があるため、汗をかく機会も適度に作り、汗をかいた後はすぐに肌を清潔に保ちましょう。
【予防策3】肌に直接触れるものに気を遣う
夏場は汗や紫外線の影響で皮膚のバリア機能が低下しやすいため、
皮膚に触れる衣類やアクセサリーの素材、化粧品などの成分に注意しましょう。涼しい時期には問題なかった材質や成分でも、突然肌トラブルが現れる可能性もあります。
肌トラブルが起きた場合は、原因と思われるアイテムを使うのをやめ、しばらく様子を見ましょう。使用を控えることで徐々に収まっていきます。
【予防策4】皮膚のバリア機能を高める
肌が乾燥し皮膚のバリア機能が低下すると、さまざまな肌トラブルを生じやすくなります。肌荒れを感じている方はもちろん、夏に向けて予防したい方も
保湿ケアを心がけ、肌のうるおいを高めましょう。
スキンケアでは、まず洗顔で肌を清潔にしてから保湿効果の高いアイテムで保湿ケアをします。化粧水や美容液で補った水分を逃がさないように、乳液でフタをしてください。
健康的な肌を保つには、睡眠をしっかりとり身体を休息させることと、規則正しい食生活も大切です。整った栄養バランスを意識し、健康的な生活を送りましょう。
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日焼けしたときは要注意!すぐにアフターケアをしよう
日焼けをしてしまったら、スピーディーな対応が肝心です。
まずは、冷たいシャワーや濡れタオルなどを使い、できるだけ早く日焼けした部位を冷やしてほてりを鎮めます。紫外線でダメージを負った肌は水分を失いやすい状態になっているため、患部を冷やした後は肌をしっかりと保湿しましょう。
もし、痛みが引かない場合は、ステロイド外用薬を使用するのも選択肢のひとつです。ただし、下記のような症状が現れた場合や症状が広範囲に及ぶ場合はすみやかに皮膚科を受診してください。
・水ぶくれ
・頭痛
・嘔吐
・倦怠感
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まとめ
夏場は紫外線や汗によって、さまざまな皮膚炎を引き起こす恐れがあります。なかには、強いかゆみや炎症が生じるものもあるため、毎日の習慣で予防を意識していくことが大切です。日焼け止めの使用や規則正しい生活を心がけ、健やかな肌をキープして夏を迎えましょう。
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