ハンドケア講習会導入事例
アサヒサンクリーン株式会社
手荒れを改善して離職予防~ハンドクリームを会社で支給~
訪問入浴やデイサービス、有料老人ホーム等を運営するアサヒサンクリーン株式会社(静岡市、浅井孝行社長)では、職員の職場環境向上のため、手荒れ対策に力を入れている。介護現場における手荒れを会社全体の問題として考え、ハンドクリームを支給するなど、改善に向け本格的に取り組んでいる。
同社が退職者に対し、退職理由のヒアリングを行ったところ、「腰痛」に次いで「手荒れ」を理由に挙げる人が多かった。また、現職員への職場環境アンケートでも「手荒れがつらい」との声が集まった。人財開発部人財管理部教育課の市川宰子主事は「手荒れ対策は必要だと感じていましたが、現場の声を聞き、想像以上に大きな問題だったと気づかされました」と話す。
名古屋・広島で支店長として、訪問入浴の現場を見てきた購買部の蛭子和樹部長は、現場における手荒れの問題を非常に重く受け止めていた。「離職対策はもちろん、職員に心地よく働いてもらうためにも手荒れ対策は会社として改善すべき課題だと判断し、取組みを開始しました」と経緯を説明する。
3年前に事業所での物品購入などを管理する購買部に異動した蛭子部長は、シャンプーやリンス、浴槽用洗剤を弱酸性の商品へ変更し、さらにハンドクリームの導入検討を開始した。看護職員の推薦で、指定医薬部外品として「ひび」「あかぎれ」の治療効果があるユースキン(ユースキン製薬・販売名:ユースキンAa)を選択肢のひとつとして挙げた。ユースキン製薬に問合せをすると、塗り方や手荒れの原因などが学べる「ハンドケア講習会」の導入を勧められ、すぐにその講習会を開催した。「質の良いハンドクリームを導入しても、現場で正しく使われなければ意味がない」と蛭子部長は指摘する。最終的に、ハンドケア講習会がきっかけとなり、ユースキンの導入を決定した。
手荒れのメカニズムや正しいクリームの塗り方を学ぶ
2020年12月15日に地域の事業所を統括する全国支店の責任者を対象に第1回感染対策ハンドケア講習会を開催した。
同講習会はユースキン製薬から提供される▽講演会資料▽肌水分計▽参加者全員分のユースキンなどを用いて、座学と手技を組み合わせて行う。
座学では手荒れのメカニズムやハンドケアが感染対策に繋がる理由などについて解説。手技の実践では、効果的なハンドクリームの塗り方を実践する。人差し指の第1関節程度に出したクリームを、手のしわや指の間にも行き渡るようきちんと塗りこむことで、塗りムラがなくなり、ベタつき感が軽減されることなどを紹介した。
講師を務めた市川さんは「手荒れによる問題は痛みだけではなく、▽傷口からの感染リスクが高くなる▽荒れた手でケアすることで利用者に不快感を与えてしまう手荒れにより手洗いや消毒が億劫になる――ことなども伝えた」と説明する。
講習会開催後は各事業所からチューブタイプやポンプタイプのハンドクリームの支給依頼が相次いだ。人財開発本部人財管理部の野村和彦執行役員は「ユースキン導入後、手荒れで困っているという話は、以前よりも聞かなくなった。事業所からは定期的にハンドクリームの支給依頼がありしっかり活用されている」と話す。
ワセリンなどを使って手にコーティングをしてからケアを行っていた男性職員からも「クリームを塗っても車のハンドルがベタつかず、使いやすい」と好評だという。
7月には新人職員向けに講習会を実施。手荒れ予防の重要性を早くから周知していく。市川主事は「手荒れは職業病だとあきらめていましたが、正しくハンドクリームを塗ることで、しっかりとケアできることが実感できました」と取組みの効果を話す。
蛭子部長は「日々の業務の中で、何度もハンドクリームを塗りなおすことは面倒なこと。これからは、どうすれば職員に長く使ってもらえるかを考えていきたい」と今後の展望を語る。
気づいたときに1プッシュ
同社の全入浴車にはポンプタイプのユースキンを設置しています。「訪問入浴では常にお湯に浸かりながら、シャンプーやボディーソープ、浴槽用洗剤を使うため、手の皮脂が落ちてしまい、季節問わず手が荒れてしまいます」と市川さん。移動に使う入浴車内にユースキンを常備することで、サービス後や移動の合間にこまめにハンドクリームを塗れる環境を作っています。「1日に多くのお客様に入浴を提供しています。ポンプタイプは押すだけでクリームが出てくるので、蓋を外す手間がありません。『ハンドケアも忘れずに』の気持ちを込めて、目につく場所に設置しています」と話して下さいました。
シルバー産業新聞2021年10月10日発行号より抜粋
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