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開催インタビュー

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ハンドケア講習会導入事例

医療法人社団 圭春会 小張総合病院

コロナ禍における手指衛生遵守の推進 ~感染対策ハンドケア講習会の導入と効果~

COVID-19の流行により手指衛生遵守の意識が高まっている反面、手洗いや手指消毒剤の使用によるスタッフの手荒れが課題となっている施設が少なくありません。そこで今回は、小張総合病院で行われている手指衛生遵守率向上に向けた手荒れ対策の取り組みと、その一環で導入されたユースキン製薬株式会社が提供する「感染対策ハンドケア講習会」についての反響や成果をご紹介するため、感染制御実践看護師 加藤 久美子先生(医療法人社団 圭春会 小張総合病院)にお話を伺いました。

医療法人社団 圭春会 小張総合病院
感染制御実践看護師
加藤 久美子先生

手荒れ対策に取り組んだ経緯

 手指衛生の遵守率向上とアルコール使用量増加の目的にて、アルコール製剤の払い出しをした時に、シールを活用し個人使用量や1患者あたりの使用量についてアセスメントを行いました。その結果より、スタッフのアルコール使用量が少なくなる一因に手荒れがあるとわかりました。
 それから、感染対策室にて発行していたICTニュースや研修毎に、手荒れについてのヒアリングを行うことを説明しました。ヒアリングの結果、看護部やパラメディカルをはじめ併設の保育園の保育士など、手荒れで悩んでいるスタッフが多いことを実感し、ユースキン製薬の協力を得て「感染対策ハンドケア講習会」を開催することにしました。2018年の冬にユースキンA(現製品名:ユースキン)を使用したハンドケアモニターに参加し、そこで得た成果から手指衛生とハンドケアをセットで実施することの重要性を実感したことも大きかったです。また、大人数のスタッフに対して、一度にハンドケアをアプローチできることも大きな魅力でした。

小張総合病院が取り組む手指衛生遵守率向上と手荒れ対策

 手指衛生の遵守率を上げるため、仕組みづくりにも取り組んでいます。イントラネットを活用し、過去の研修会の資料やパワーポイントが随時確認できます。また、各部署のアルコール使用量の確認も、自分達で確認できる状況にあります。1患者あたりのアルコール使用量の低下などが見られた場合は、看護部感染対策委員会でリンクナースと確認し、手荒れの発生はないかなど原因の確認と対応を行っています。ICTニュースを活用したニュースの発信も引き続き行っています。このような取り組みにより気になる部署にすぐに介入できるようになり、手指衛生遵守率向上に繋がっています。昨年度より健診センターも取り組みに参加し、パラメディカルの手荒れ対策にも積極的に取り組んでいます。コロナ禍において全スタッフの手指衛生が重要になってきています。

 

 また、2019年に実施した「感染対策ハンドケア講習会」では、ユースキン製薬より提供頂いたデータを活用して、資料を作成し研修を行いました。演習では実際にクリームを手に塗り、ハンドケアを実践しました。実際に自身で行ってみると、普段のケアの間違いに気付けたりして反応もとても良かったです。アンケートの回答率の高さからも反響の大きさを感じました。また水分量チェックでは、自覚がなかった男性スタッフが自身の手荒れに気付く場面もあり、ハンドケアを学ぶきっかけとなった研修でした。この研修から、医師や研修医からも手荒れの相談を受けることがありました。勤務の都合上参加が難しいスタッフは、フォローアップとしてテスト方式の資料を使った研修を行い参加としました。また、手指衛生+ハンドケアについて各部署に出前研修を行った結果、研修の受講率は98%になりました。






感染対策ハンドケア講習会の様子

コロナ禍を乗り切るために…手荒れ対策の成果と展望

ハンドケアの重要性が分かり、研修会以後男性スタッフのヒアリングも増えました。また、当院ではアルコールによる手荒れ対策として濃度の低い擦式消毒剤も使用していますが、払い出し量が減ってきていることもハンドケアの成果だと思えます。現在はユースキンのポンプを、部署ごとに任意の場所に設置しています。いつでもハンドケアができるようにし、手荒れ対策を継続して行うことができるよう工夫しています。今後も設置を進めていく予定です。そして、リンクナース、パラメディカルのリンクスタッフが、将来的に各部署で手指衛生・手荒れ対策の指導を展開できるように育成しています。
 当院は新型コロナウイルスの中等症・重症者の入院対応、発熱外来を行っております。PPEの着脱が必須となり、手袋による摩擦や、長時間着用による浸軟も手荒れの原因に加わりました。手荒れのリスクが高まる分、ハンドケアをしっかり行うことで感染対策に繋がります。まずは病院全体として手指衛生を遵守していく風土を整えていくことが、感染対策にとって重要だと感じています。


ポンプ設置の様子

 

看護師のための学べる情報誌!ナースマガジンvol.37(2021.10)より抜粋
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