感染症の流行により、手指衛生をする機会が多くなったと思います。こまめな手指衛生を行うことで、「手荒れが起きやすくなった」と感じる方も多いのではないでしょうか。
手荒れ防止には、まず正しい対策方法を知り、ハンドケアを行うことが重要です。ハンドケア製品の使用やハンドマッサージなどを行うことは、手荒れ対策にはとても有効です。ハンドケアの知識も一緒に深めて、きちんと手荒れ対策を行いましょう。
手が荒れないようにするためのコツ
こまめに手洗いを行うと、皮脂が取り除かれやすくなります。特に、お湯で手洗いを行うことは、皮脂を奪いうるおいのバリアを壊す原因となりますので、避けましょう。目に見える汚れがなければ、自分に合った保湿剤が配合された製剤による手指消毒を優先させることも有効です。
また、手を洗った後は、石けん(ハンドソープ)を全て洗い流しきれていなかったり、水滴が手に残ったままにしたりすると手荒れの原因になるため、石けん(ハンドソープ)は充分にすすぎ洗いし、水滴はこすらずにやさしく押し当てるようにして拭くことをおススメします。
手荒れ対策の方法
1.石けん(ハンドソープ)と流水による手洗いを行う場合
刺激となる手洗い・手指消毒の習慣を見直す
- 目に見える汚れがなく、手指消毒でだけでも問題がない場合は、石けん(ハンドソープ)と流水による手洗いを極力避け、手指消毒を行う。
- 手肌にやさしい石けん(ハンドソープ)を選ぶ。
- お湯を使用せず、石けん(ハンドソープ)をしっかりとすすぐ。
- 手を拭くときは強くこすらず、ペーパータオルなどを使用してやさしくしっかり押し拭き(押さえるように拭いてこすらない)する。
- 手に水滴を残さない。
2.アルコール手指消毒を行う場合
自分に合った手指消毒液やジェルを選ぶ
- 保湿剤が配合されたものなど、自分の肌に合い、手荒れを起こしにくいものを使用する。
- アルコールが刺激となる場合には、アルコールを含まない手指消毒薬を使用する。
3.ハンドケアを行う場合
ハンドケア製品の使用
- ハンドケア製品は、手荒れをしていなくても日頃から使用する
- 水分の蒸発や外部からの刺激、体内へ異物が入るのを防ぐ皮膚(角層)のバリア機能を正常に保つため、バリア機能をサポートするハンドケア製品を使用する。
- トラブルが起きそうな部位には、あらかじめ皮膜バリアを作る皮膚保護クリームを使用する。
- ハンドケア製品を使用してハンドマッサージを行う。
- 手指消毒薬、手袋の性能に影響を与えないハンドケア製品を選ぶ。
4.手荒れがひどい場合
手袋を装着する
- 手袋を装着するときは、手を完全に乾いた状態にする
- パウダーフリーやラテックス※フリーの手袋を使用する
- パウダーが付いた手袋を装着した後は、石けん(ハンドソープ)と流水による手洗いを行う
- 就寝前にハンドケア製品を塗り、布手袋を着用する
※ラテックス:天然ゴムに含まれるラテックスタンパク質のこと。それによって引き起こされるアレルギー症状(赤み、かゆみ、じんましんなど)をラテックスアレルギーと呼ぶ。
ハンドケア製品の種類
ハンドケア製品には種類があります。保湿機能を補う保湿剤と、皮膚(角層)のバリア機能をサポートする保護剤、そして、その2つの機能を併せ持つ製品です。
自分の手肌に合ったものを選び、ケアを行いましょう。
ハンドケア製品の効果的な使用方法とハンドマッサージの手順
正しく行うことで効果的な対策や予防が行えます。これまでのご自身のやり方と比べてみて、違っている場合は見直してみましょう。
point.1
ハンドケア製品の使用量の目安
- 1回1FTU※(約0.5g)
- 1日2g(1FTU を4回)以上使用するとより効果的
※FTU:軟膏やクリームを塗る量の目安となる単位。
大人の人差し指の先から第1関節までチューブから絞り出した量。大人の手のひら2枚分の塗布に適した量です。
ハンドケア製品の量が正しくなかったり、塗りこみが足りなかったりすると効果が表れにくくなるので、使用量を守ってしっかり塗りましょう。
point.2
ハンドケア製品の効果的な使用方法
ハンドケア製品を塗るときにハンドマッサージを一緒に行うと、身体の血流改善に役立ち、また、成分が手肌全体に行き渡って浸透しやすくなるため、より効果的なハンドケアとなります。
手荒れがない場合でも、手洗いを行った後には手肌をうるおすハンドケア製品を使用して、日頃から予防的にハンドケアを行うことも大切です。
衛生面では、ポンプタイプや個人で携帯しているハンドケア製品を使用することによって、感染源にさらされにくくなります。
point.3
ハンドマッサージの手順