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感染症予防の視点から、今年の秋冬は手荒れ対策ハンドケアを念入りに

感染症予防の視点から、今年の秋冬は手荒れ対策ハンドケアを念入りに

ウィズコロナ時代は、手洗いと消毒がかかせません。しかし、1日に何度も手洗いや消毒を繰り返すことで、手荒れに悩む人が増えています。ユースキン製薬の調査によると2020年の3~8月コロナ禍において、手洗い・消毒が日常習慣となったことで、昨年より手荒れを感じている人が1.5倍に増えていることがわかりました。手荒れは痛みや不快感を伴うだけでなく、荒れた部分に細菌やウイルスが付着しやすくなり、感染リスクが高まると以前からいわれています。また、空気の乾燥が進む秋から冬に、さらに手荒れが重症化する可能性が高いことがわかっています。その一方で、正しいハンドケアを行うと手荒れが改善し、また、早めの時期からハンドケアを始めることで手荒れの重症化を予防できることもわかっています。ウィズコロナの時代、手荒れの重症化予防のために、正しいハンドケアをマスターしてください。"


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1.手指の消毒により手荒れが悪化

手の皮膚も顔と同じように、皮膚が持っている天然の保湿成分で保護されています。しかし、手洗いや消毒により、保湿成分や有効な常在菌が奪われてしまうことで皮膚は乾燥し、手荒れが起こります。手荒れの主な症状は、ひび、あかぎれ、皮むけ、赤みなどで、重症化すると痛みや腫れを伴う場合がほとんどです。あかぎれは、ひびが皮膚の奥の真皮まで到達して出血を伴い、一度起こると回復に時間がかかります。

   

 

2.感染症対策で9割の看護師が「手の痛みで消毒を躊躇(ちゅうちょ)したことがある」と証言

手荒れは、荒れた部分に細菌やウイルスが付着しやすいだけではなく、感染対策の妨げになることがわかっています。この事実は、ユースキン製薬による看護師を対象にした調査※2でわかりました。看護師は院内感染を防ぐため、繰り返し手指の消毒を行います。調査では、「手指衛生を行う際、手荒れ箇所に痛みやかゆみが発生したことがありますか」という質問に、約9割が「ある」と答えました。さらに、その内の9割が、「手荒れの痛みで消毒を躊躇(ちゅうちょ)してしまったことがある」と答えており、消毒による手荒れが感染症対策の大きな妨げとなっていることがわかりました

※2)ユースキン製薬『看護師モニター試験 事前アンケート(n=50)』2018年10月

 

.アルコール消毒を一日に何回もする看護師も、正しいハンドケアで手荒れが改善。クリームの量が大切

事前調査では、ほとんどの看護師が、正しいハンドケアが行えていなかったことが明らかにされています。間違ったハンドケアは、手荒れが起こりやすい関節や、指の間にハンドケア剤(ハンドクリームなど)がしっかり塗れておらず、塗布量も少なめでした。同じく看護師を対象にしたモニター試験※3)では、それぞれの手荒れの重症度をスコア化し、正しいハンドケアの効果を確認する試験を行いました。正しいハンドケアの方法は、以下の図を参考にしてください。

図のような正しいハンドケアを日中3回と就寝前に2週間行ったところ、最初の1週間で手荒れの重症度が低下し、ひびやあかぎれが改善していることがわかりました。

今回のモニター試験では、ハンドクリームは1日に2g使用することで大きく改善し、2g未満では横ばいに近いことがわかりました。ハンドクリームはベタつくのが嫌なのか、少なめに塗る方が多いようですが、正しい塗り方を行うことでベタつきは少なくなります

また、就寝前は、ハンドクリームを塗った後に綿100%の手袋をはめて就寝すると、うるおいを閉じ込め、翌朝のしっとり感を実感できます。

※3)ユースキン製薬『看護師モニター試験(n=50)』 2018年11月~2019年2月

 

.ひび・あかぎれに対しては、有効成分が入ったハンドケア剤を選ぶことが重要

上記のハンドケアを行う際の大切なポイントは、ハンドケア剤(ハンドクリームなど)の選び方です。香りや使い心地で選びたくなりますが、成分に注目して選びましょうひび、あかぎれに有効な成分が入ったハンドケア剤(ハンドクリームなど)を日常的に使うことが大切です

 

<ひび・あかぎれに有効な成分>

・血行を促進する成分 (ビタミンE、ヘパリン類似物質など)

・炎症を鎮める成分 (dl-カンフル、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウムなど)

・保湿する成分 (グリセリン、ヒアルロン酸、セラミドなど)

 

これらの成分は、「指定医薬部外品」や「医薬部外品」として売られているハンドケア剤(ハンドクリームなど)に配合されています。「指定医薬部外品」とは、もともと治療効果がある医薬品として販売され、規制緩和でスーパーやコンビニでも販売できるようになった製品です。一方、「医薬部外品」とは有効成分による予防効果がある製品です。

手荒れに有効なハンドクリームを毎日使えるように用意し、正しいハンドケアを習慣化していきましょう。空気の乾燥が進む冬になってからではなく、今の時期から早めに対策を始めることが重要です。早めの時期からハンドケアを始めることで、手荒れの重症化を予防できます。

 

5.手洗いや消毒を正しく続けるためのハンドケア

頻繁な手洗いや消毒は、皮膚が持っている天然の保湿成分を奪い、ひびやあかぎれを起こしやすくします。ガサガサに荒れた手は感染症のリスクとなるため、秋冬の感染症流行の季節に向け、正しいハンドケアを行うことが重要です。

手洗いや消毒による手荒れ対策には、正しいハンドケアを行いましょう。1日2gのハンドクリームを使い、日中3回と就寝前に正しいハンドケアを行うことで、手荒れの改善と予防につながります。正しいハンドケアの重要なポイントは、ハンドクリーム選びです。ビタミンEを始めとする、ひび、あかぎれに有効な成分が入った製品を選びましょう

この記事の監修医師
野村有子医師からのワン・ポイントアドバイス

ハンドクリームを塗ることを習慣化するには、ご自宅の洗面台やリビング、キッチンなど水回りにハンドクリームを常備しておくことが有効です。夜は治療効果を意識してたっぷりと量を使い、指先の血行を意識してマッサージをしながら塗ってください

 

 

 

野村皮膚科医院 野村 有子 院長医学博士

慶応義塾大学医学部卒。横浜市に野村皮膚科医院を開業。
わかりやすい丁寧な指導が評判の関東屈指の人気皮膚科医。
最新の肌診断機器の導入や、アトピー性皮膚炎患者専用モデルルーム、アレルギー対応カフェも併設されている。アトピー性皮膚炎や乾燥性湿疹を中心に、男女を問わず幅広い年代の皮膚疾患の診断、治療を行っている。

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