子どもの肌は乾燥しやすい
子供の肌というと、しっとりとうるおったイメージがあるかもしれません。しかし実際は、子供の肌は大人よりも乾燥しやすいのです。
子供の肌の機能は未熟で、皮膚のバリア機能がうまく働かないことが原因といわれています。
人の皮膚の表面にはバリア機能が備わっており、紫外線やホコリ、花粉といった外部刺激から体を守る役割のほか、体の水分が逃げないように守る働きがあります。そのため、バリア機能がうまく働かないと、水分が失われやすく、肌が乾燥しやすくなるのです。
特に赤ちゃんは、生後2~3ヶ月で皮脂の分泌量が低下するといわれています。水分の蒸発を防ぐ皮脂の分泌量が少ないことも、子供の肌が乾燥しやすい原因となっています。
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乾燥による代表的な肌トラブル「乾燥性湿疹」
子供の皮膚は、バリア機能の働きが不十分なため、さまざまな肌トラブルが起こりやすいです。
乾燥している肌に湿疹ができて、なかなか治らない場合、「何が原因なのだろう?」とパパ・ママは心配になるかもしれません。肌の乾燥と湿疹がみられるときに考えられるのが、乾燥性湿疹です。
乾燥性湿疹になると、以下のような症状が現れます。
・皮膚が粉をふく
・ブツブツとした湿疹ができる
・かゆみ
・皮膚にシワができる
・皮膚がひび割れる など
肌の乾燥が進行するとかゆみを生じますが、乾燥性湿疹は皮膚をかくことで悪化してしまいます。
子供の肌は乾燥しやすいため、乾燥性湿疹が起きやすいといわれています。特に肌が乾燥しやすい秋や冬は、乾燥性湿疹になりやすい季節だといえるでしょう。肌のカサカサや粉ふきなどができている部分に湿疹が生じているなら、乾燥性湿疹の可能性があります。
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子どもの肌に乾燥が原因で湿疹ができたときの注意点
乾燥した肌は、そのままにしていると、どんどんうるおいが失われ、かゆみや湿疹などの症状が悪化します。子供に乾燥が原因の湿疹ができているなら、早めにケアをしてあげましょう。
ここでは、乾燥による湿疹ができたときのケア方法や注意点を紹介します。
かゆみ止めを塗る
湿疹が炎症を起こして赤くなりかゆみがある場合は、すぐに「湿疹(しっしん)」の効能のある医薬品のかゆみ止めを塗りましょう。乾燥性の湿疹が原因でかゆみを起こし、かいてしまうと症状は悪化してしまいます。子供が肌をかいてしまう前に、かゆみ止めでかゆみを素早く止めてあげましょう。また、子供の爪は短く切っておき、皮膚を傷付けないようにすることも大切です。
広範囲に湿疹ができているときは、ローションタイプなどの塗り伸ばしやすいかゆみ止めを選ぶと良いでしょう。
保湿剤で肌を保湿する
皮膚の乾燥が原因で湿疹ができているので、やるべきことは保湿です。子供にも使用できる低刺激な保湿剤を肌に塗って、皮膚のバリア機能を整えましょう。
皮膚のバリア機能は、皮膚の最も外側の角層部分のうるおいが保たれることで正常に機能します。角層のうるおい保持に必要とされているのが天然保湿因子(NMF)、角質細胞間脂質です。そして、その表面に皮脂が薄い膜を形成することで、水分が逃げるのを防いでいます。
しかし、肌が乾燥してしまった場合、皮膚のバリア機能の働きが不十分となります。肌の油分となる皮脂や細胞間脂質といった保湿因子が減少することで、肌の水分も失われやすくなってしまうでしょう。その結果、さらに肌の乾燥が進んでしまいます。
保湿剤を肌の表面に塗ると、肌にうるおいを与えるのとともに保護膜のような役割を果たすため、バリア機能をサポートすることができます。特に、入浴後は水分が蒸発しやすい状態にあるので、保湿剤で肌をしっかりとケアしてあげましょう。
とはいえ、子供がお風呂から上がった直後は、「体をタオルで拭いて、パジャマを着せて、髪をドライヤーで乾かして…」と、やることがたくさんあります。
パパ・ママの中には、忙しくて体の保湿ケアが後回しになってしまっている場合もあるかもしれませんが、乾燥対策のためには、お風呂から上がったらできるだけ早く保湿してあげましょう。タオルで体の水分を拭き取ったらすぐに、パジャマを着せる前に保湿してあげてください。
お風呂はぬるめの温度で
お風呂のお湯の温度にも注意しましょう。特に寒い日は、お風呂のお湯を熱めに設定して、子供の体をしっかりと温めてあげたいと思うパパ・ママも多いかもしれません。
しかし、熱いお湯は体のうるおいを守る皮脂を洗い流してしまうといわれています。前述したように、皮脂が失われるということは、それだけ肌の乾燥が進みやすい状態になるということです。肌が乾燥しているのに熱いお湯に入ってしまうと、さらに乾燥が悪化して、症状がひどくなる恐れもあります。
子供の肌に乾燥による湿疹が見られるなら、お風呂の温度をぬるめに設定しましょう。お湯の温度は39~40℃に設定するのがおすすめです。
また、お風呂に長時間浸かることも、皮脂や角層内の保湿成分が流れ出る原因となります。子供の肌の乾燥を防ぐためにも、長湯は避けてください。おもちゃを使って湯船の中で遊ぶのが習慣になっているなら、お風呂の後に遊ぶよう促して、長湯を控えましょう。
お湯の温度と湯船に浸かる時間とあわせて注意しておきたいのが、体の洗い方です。ナイロン素材などのボディタオルで体をゴシゴシと洗うと、肌を傷つけてしまい、皮膚のバリア機能の低下を招いてしまいます。
子供の体は石けんやボディソープをよく泡立てて、ゴシゴシこすらずやさしく洗うことが大切です。手のひらを使ってやさしく洗うのがおすすめです。ボディタオルを使うなら、やわらかい綿素材のもので洗いましょう。
衣類は肌ざわりの良いものを
子供の肌トラブルを防ぐためには、衣類にも注意してください。衣類のなかには、ナイロンやアクリルなど化学繊維が使われているものもあります。これらの化学繊維のなかには、肌に刺激となってかゆみを起こすものもあるため、乾燥性の湿疹ができやすい子供にはおすすめできません。
子供に着せる衣類、特に肌が直接触れる肌着は、綿など肌ざわりの良い天然素材のものを選びましょう。
肌着のなかには、速乾性のあるものや寒い日に着用すると汗の水分によって温かくなる機能性素材のものがあります。そのような肌着のほとんどには、ナイロンやアクリルなどの化学繊維が使用されているため、刺激を受けやすい子供は注意しましょう。
購入前は肌ざわりだけでなく、ラベルを見て化学繊維が使用されているかどうかを確認してください。
また、肌着以外の衣類でも、肌に直接触れるズボンやスパッツ、セーターの首回りや袖の部分などに化学繊維が使用されていると、かゆみを起こすことがあります。こちらも購入前に確認しておきましょう。
症状によっては皮膚科に受診する
乾燥する子供の肌にかゆみや湿疹が現れているのに、「一時的なものだろう」「肌質だから仕方ない」と勝手に判断するのは危険です。そのまま放置していると、場合によっては症状が悪化する恐れがあります。
また、保湿ケアやお風呂の入り方・洗い方に気を付けているにもかかわらず、子供の湿疹が治まらなかったり、逆に悪化していたりするケースも問題があります。
このような場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。皮膚科では症状に合ったステロイド外用薬などを処方してもらえます。症状によっては、かゆみを抑える外用薬や内服薬を処方されることもあります。
乾燥による湿疹の程度には個人差があり、保湿ケアを入念に行うことで症状が治まる子供もいれば、それだけでは改善されない子供もいます。湿疹の範囲が広かったり、かゆみがなかなか治まらなかったりするようなときは、皮膚科を受診するのがおすすめです。
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まとめ
今回は、子供の肌に現れる乾燥性の湿疹について解説しました。肌の乾燥による湿疹はかゆみを伴うことが多く、かくことで症状が悪化してしまいます。症状を悪化させないためには、「保湿剤でしっかりと保湿を行う」「お風呂のお湯の温度をぬるめに設定」「体のゴシゴシ洗いを控える」など、子供の肌を乾燥から守るための対処が必要です。
もしも紹介した対処法で症状が改善しないようであれば、早めに皮膚科を受診しましょう。
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